見出し画像

「好き」を続けるには?チョークアーティストが語る“気軽”な継続論

好きなことを続ける、ましてや仕事にするためには、きっと努力や運も必要です。でも、ただひたすら自分のやりたいことに集中していたら、不思議と助けてくれる人たちが集まって、続けるための環境がどんどんできていく……ということもあるようです。

今回は、「好き」が唯一無二の仕事になった人に話を聞きました。
 
みなさんが続けていきたいことはなんですか?


手描きのアートでお店や街を彩る


今回お話をお聞きしたのは、"手描き”のチョークアートを行うチョークボーイさん。カフェの黒板メニューとして描いたおしゃれなレタリングとイラストが注目され、いまではお店の壁や看板、さまざまな製品のロゴやパッケージのデザインまで、全国津々浦々から依頼を受けています。

活動歴は10年以上。作品を通して、手描きアートの素晴らしさを伝えてきました。
 

チョークボーイさん

「楽しく絵を描く」が、気づいたら仕事になっていた

小さい頃から絵を描くことに、楽しみを見いだしていたチョークボーイさん。それが仕事になったのは、とても意外なきっかけだったそうです。

チョークボーイさん:学生時代、カフェでアルバイトをしていたんですが、出勤しつつもなるべくサボりたくて(笑)。でも、もちろんサボっていると怒られるんです。だから、怒られないように一つの仕事をあえてゆっくり丁寧にしようと思い、「メニュー書きに力を入れる」という習慣が始まりました。それが次第に注目されて、アルバイトながら系列店に出張して描くまでに。絵を描くことはもともと好きでしたが、怒られないために始めたことが仕事になるなんて、最初は思いもしませんでしたね。

以降さまざまな制作依頼がくるようになったチョークボーイさん。制作するうえで大切にしているのは、手描きならではの味わいだそう。デジタルのような正確性や利便性はないけれど、人の手で時間をかけてつくったからこそ生まれる温かみが、自身のアートワークの魅力だと話します。
 
チョークボーイさん:変な言い方かもしれないですが、僕の絵は下手でも良いと思っていて。だから精巧に描く練習みたいなことはしません。日頃意識してやっていることは、街の看板やパッケージなどを見て、絵に必要な要素を分析するくらいです。僕の絵の魅力は「人間らしさ」にあると思っていて、それはちょっとした下手さや不正確さといった、完璧ではない部分に詰まっていると思うんです。時間も人件費もかかるけれど、依頼してくださる方は手描きならではの「味」を求めているんだと思います。「温かみがあるね」と言われると、こちらの想いが伝わっているんだなとうれしくなりますね。

ここまで続けられたのは「苦手」を補ってくれるチームのおかげ

1人で始めたアートの仕事ですが、6年前からは自身を含む4名のアーティストで結成した「WHW!」として活動を開始。チームになったことで、さらに本領を発揮できる環境が整ったと言います。
 
チョークボーイさん:じつは、僕は連絡をまめにすることが苦手なんですが、いまはラッキーなことにそれを得意とするチームメンバーがいるんです。そのほかの「苦手」も補完してくれる仲間たちに出会えたので、僕はもっと好きなことに集中できるようになりました。「苦手」を自分で克服するよりも、お互いにカバーし合って、全員が思いっきり「好き」を発揮する。これこそが、チームで活動する意義だなと感じています。

チョークボーイさんが所属する手描き結社「WHW!」

そんな素敵なチームで挑戦した新たな取り組みが、「EENY BREAKFAST & SHOP」。2024年2月に鎌倉でオープンした、朝ごはん屋さんです。チョークボーイさんにとって朝ごはんを食べるという習慣は、ポジティブなエネルギーの源なのだそう。
 
チョークボーイさん:以前、オーストラリアに行ったときに、現地の人たちに根づいている朝型のライフスタイルがすごくかっこいいなと思いました。しっかり朝ごはんを食べれば、元気いっぱいで1日を始められる。そのポジティブなエネルギーを自分たちもつくり出せたらと、朝ごはんのお店をスタートしました。僕たちのお店では、何時に来ても「朝ごはん」メニューが食べられるので、たとえ夕方であってもフレッシュな1日を始められるんですよ。

「EENY BREAKFAST & SHOP」の朝ごはんメニュー

10年以上も絵を描き続けてきたチョークボーイさん。彼を動かしてきたのはもちろん作品をつくる楽しさや、喜んでくれる人たちの存在ですが、さらにもう一つ、彼なりの物事を続ける秘訣があるそうです。
 
チョークボーイさん:続けるコツは「やめない」ことです。たとえば僕は筋トレを続けていて、いまは全然できていないけど、やめてはいません。たとえやらない期間があっても「やめた」と言わなければ、続いていることになるんです。物事をコンスタントに続けるのはすごく立派なことですが、もう少し気軽に「やめなければいい」くらいの感覚で取り組んでみてもいいと思います。
 
とんちのような持論からは、続けることを気長に捉える姿勢がうかがえます。さらに、チョークボーイさんによると「好きなことは何個あってもいい」のだそう。
 
チョークボーイさん:できるだけたくさんの「好き」を持っているといいと思います。苦手なことがあっても、それを上回るくらい自分をワクワクさせるものがあふれていたら、楽しいですよね。

たくさんの「好き」を気軽に続ける大切さ

なんとなく好きで始めたことが周囲の人に喜ばれ、習慣となり仕事になっていった……という、チョークボーイさんの夢のようなストーリー。でもそれは、ずっと楽しみながら続けてこられたから花開いたのだと感じます。
 
日常生活で、苦手なことやネガティブなことに気をとられてしまう瞬間は誰しもあるはずです。しかし、それ以上に「好き」であり続けられる物事がたくさんあったら、相対的に日々を楽しいものにできるのではないでしょうか? また、自分のやりたいことや得意なことを表現し続ければ、自然と仲間や助けてくれる人が周りに集まり、新しい扉を開いてくれるかもしれません。

そして、大事なのが「気長に続ける」という考え方。みなさんも「好き」と思えるものを「続けなきゃ」と気負わず、その時々の気分に従って、無理ない範囲で取り組んでみてはいかがでしょうか? それこそが、じつは結果的に習慣を継続させるコツになるのかもしれません。

LION Scopeでは、「習慣」についてこれからも広く・深く探究していきます。みなさんも「習慣」について一緒に考えてみませんか?

好きから生まれたその他の習慣はこちら

▼LION Scopeその他の記事はこちら


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

最後までお読みいただきありがとうございます! LION公式サイトもぜひご覧ください!