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「好き」から生まれた習慣 ~推しがくれたポジティブな日々~

みなさん、「推し」は持っていますか?

もともとはアイドルやキャラクターなどが対象でしたが、いまでは鉄道、家電、食品など、ジャンルにとらわれず「推し」の対象はさまざまな広がりを見せています。会いに行ったり、グッズを集めたり……、いわゆる「推し活」を日々楽しんでいる方も多いのではないかと思います。
 
「推し」を持って楽しく過ごす人たちは、何がきっかけとなり、日常はどのように変化したのか? 夢中になれる「コト」をみつけた先にあるポジティブな影響や日々の捉え方を知ることで、習慣とのつながりを探求してみたいと思います。


「星・星座」への想いの強さからラジオ番組放送へ。

今回お話をお聞きしたのは「星・星座」推しの中村星次郎さん。「星・星座」の世界に魅了され、一念発起して気象予報士の資格を取得。それだけではなく、自分の想いを形にするために自らラジオ局に売り込みをかけて星や星座に関わる番組の放送枠を取得し、4年間放送をしていました。
 
さらに、宇宙や天文分野、そして星空についての知識やそれらの解説技能を有していることが認定された「星空準案内人」の資格も取得し、現在はSpotifyで星空の話とそれに合わせた音楽を紹介する番組を毎週配信しています。

純粋に「好き」の気持ちに寄り添う・・・

星空を眺めるにも天文学や天体観測などのさまざまな形がありますが、中村さんが好きなのは、自然のなかで風景を見たり美術館で絵画を鑑賞したりするように、星空を自由に眺めて楽しむ「天体観望」というスタイル。しかし生活の一部になっており、その「好き」の理由を言語化するのは難しいと言います。

中村さん:単純に「きれいだなあ」が一番ですかね。きれいだから観ているしかなくて。このあいだも星空に関する試験を受けたのですが、そのモチベーションはどこからくるんですかと聞かれても、楽しいからとしか答えられないんです。

そんな中村さんが、「星・星座」を推すようになったのは40代で転勤した名古屋。偶然、世界最大級のプラネタリウムがある名古屋市科学館に訪れた際に、「天文倶楽部」というサークルを発見して入会したのがきっかけだったと振り返ります。

世界最大級のプラネタリウムが設置された名古屋市科学館

まるで何かに導かれるように「星・星座」に魅了されるようになった中村さん。その後、その熱はさらに加速して、FMラジオ局に自ら売り込んで放送枠を獲得し、学芸員とともに4年に渡って番組を放送されました。
 
現在はSpotifyで毎週日曜日に星空の話と音楽を紹介する番組「ROAD TO STARS」の配信も行う中村さんには新たな習慣が生まれたそうです。
 
中村さん:番組でお話しする内容や流す音楽を調べるのが習慣になりました。最初は調べ続けるのは大丈夫かなと思ったんですが、知識になるし、調べて楽しいので、全然苦になっていないですね。

「好き」から生まれたコトが人生に彩りを添える

都会で暮らしていると星空を落ち着いて見上げることも少ないですが、中村さんのお話を聞いていると、頭上に広がる星々の美しさとともに、自身の推しである「星・星座」を語る中村さんにも魅力を感じます。
 
中村さん:同じような星好きの方と出会えるのも魅力ですね。同じ星空を観て「きれいだね」と言っているだけなんですけど、その美しさを知っているということを共有できるだけでも楽しいです。天体観望会などに来てくれた子どもたちが「観えた!」と喜んでくれるのもうれしいですね。

中村さんは「なぜ好きなのか」を説明するのが難しいとおっしゃいましたが、お話を聞いているとその魅力が十分に伝わってきたように思います。そういったことを意識していないぐらい、中村さんにとって星を観ることは自然な習慣なのかもしれません。
 
そして最後に「好き」があることが人生にどのような影響を与えているか話してくれました。
 
中村さん:別にお金になるわけではないので、裕福になるとかではないですが、楽しめる度合いが広がっていると思います。人生を楽しむというか、人生の楽しみ方が広がった感じはします。

変化を意識しないぐらい静かにハマる推し

中村さんのお話を聞く前、「推し活」というと刺激や興奮をもとに自分もエキサイトしてストレス発散するようなイメージがあったのですが、静かに夢中になって心や体をリラックスさせる行動もあると気付きました。

そして、お話を聞いていると、ご本人も気づいていない習慣がそこに息づいているのでは?と感じました。

星は何千万年・何億年という単位の大きな時間軸で動いているもの。
それゆえご本人も意識しないうちに、せわしなく過ぎる日常から離れて、星という推しと向き合う中で世界や時間を大きくとらえられるようになったのではないかと、取材中の言葉や考えをお聞きしながら感じました。
 
「好き」というポジティブな気持ちを持ち、自分から出会いに行くことで新たな思考や習慣が生まれ、日常が華やかになる。その積み重ねが知らぬ間に人生を豊かにしているかもしれません。

LION Scopeでは、「習慣」についてこれからも広く・深く探究していきます。みなさんも「習慣」について一緒に考えてみませんか?


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