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今日の「おやつ」何を選ぶ?心身を豊かにするポジティブな食習慣

多くの人が幼い頃から慣れ親しんできた「3時のおやつ」という習慣。大人になっても「おやつ」と聞けば心ときめき、ワクワクする人も少なくないでしょう。日々忙しく過ごす現代人にとって、おやつの時間はほっとひと息つけるリフレッシュタイムや自分へのご褒美といえるかもしれません。
 
一方で「間食すると太る」「甘いものは体に悪い」など、おやつに対してネガティブなイメージをもったことはありませんか? 実際に食べるのを我慢したり、コソコソ隠れて食べたり……。
 
こうした罪悪感も抱かせるおやつに対し、「『おやつ』は心身ともに健やかに生きるために必要なもの」と提唱するのが「国際おやつ(OYATSU)研究会」代表の矢澤一良先生。ヘルスフード科学を専門とし、ウェルネスの増進をはかる食品の研究・普及に取り組んでいます。
 
昨今、ライフスタイルの変化や健康意識の高まりから、おやつを取り巻く環境も変化しています。私たちが豊かに暮らすうえで、習慣としてのおやつにはどんな役割や価値があるのでしょうか? 身近なおやつの習慣を心と体の健康面からひもとくと、おやつに秘められた新たな可能性が見えてきました。


「3時のおやつ」はなぜ根づいた? 江戸時代から現代まで続く日本の習慣

「おやつ」は子どもたちのお楽しみであり、大人にとっては仕事や家事の合間にとる小休止やリフレッシュのひととき。「3時のおやつ」のほかにも、塾に行く前や部活動後、残業中、就寝前など、おやつを食べるタイミングは1日に何度もあります。そもそも、こうしたおやつの習慣はどこからきているのでしょうか。
 
矢澤:3時のおやつは江戸時代にルーツがあり、当時の食習慣と関係しています。江戸時代の中頃まで、食事は朝・夕の1日2食が一般的。畑仕事などの重労働をしていたら、当然、夕食までお腹がもちませんから、午後2時から4時頃、当時の時刻で「昼八(や)つどき」に間食をとる習慣がありました。これが「おやつ」の語源です。

1日3食、「飽食の時代」といわれる現代においても、「小腹を満たすための間食」というおやつの基本的な役割は変わらない、と矢澤先生は言います。
 
矢澤:1日3食しっかり食べても、朝食から昼食までの間や夕方、夜寝る前などに空腹をおぼえることがありませんか? それはエネルギーが不足して血糖値が下がっているサイン。体内の水分が不足して喉が渇くのと同じ生理現象です。
 
「間食はダイエットの敵」「太る」というイメージもありますが、矢澤先生によると不足しているエネルギーを補給することは大切、とのこと。たしかに間食で空腹をやわらげておけば、ほかの3食の食べ過ぎや暴飲暴食を防げるかもしれません。こまめに食事をとったほうが血糖値の急上昇が抑えられ、肥満や病気の予防につながることも学術的にわかってきているそうです。
 
矢澤:厚生労働省・農林水産省が作成した、食育基本法に基づく「食事バランスガイド」では、1日の食事をコマにたとえています。そのなかで、「菓子・嗜好飲料」であるおやつはコマを回すための原動力である「ヒモ」。バランスのとれた食生活を送るうえで、おやつは食育の観点から大切な役割を果たしているということです。

おやつはコマを回す青い「ヒモ」に含まれる

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html)

矢澤:とはいえもちろん、無制限に食べるのはおすすめしません。おやつを食べても1日に必要なカロリーを超えないようにするなど、バランスを気にかけることが大切です。

義務ではないから、楽しめる。おやつ時間が会話や安らぎを生む理由

「おやつのような間食の習慣は、日本だけでなく世界中にある」という矢澤先生。多くの国において、おやつにはある共通した役割が存在するようです。
矢澤:おやつが「コミュニケーションツール」となっている国は多いですね。たとえば、海外の大学や研究施設ではティータイムをもうけているところが少なくありません。時間になると研究員や職員が共有スペースに集まり、お茶やコーヒー、ジュースを手にお菓子をつまみながら雑談します。くつろいだ雰囲気では「今度うちでBBQしない?」「お宅のお子さんは最近どう?」といったプライベートなやりとりが自然に生まれることも。仲間との楽しい会話は、ストレス解消やリフレッシュにもつながりますよね。コミュニケーションツールとしてのおやつは、体だけでなく心の健康にも作用するんです。

一方で日常生活の中で、「実際誰かと食べるのは難しい」という方も多いと思います。
実はコミュニケーション以外にも、良い役割がありました。
昨今、注目されている食のキーワードとして「ムードフード」があります。これは、ストレスを緩和したり、安眠に導いたりと、感情面にプラスにはたらきかける食品の総称。矢澤先生は、幸福感をもたらすおやつはムードフードの代表格だと言います。
 
矢澤:おやつには、通常の食事にはない特別なワクワク感があります。とくに日本のおやつはおいしいし世界と比較して種類も豊富なので、何を食べようかと考えるだけで気分が高揚しますよね。また、おやつには食事のように「食べなければ」「つくらなければ」といった義務感がなく、これといった決まりごともありません。自由度が高く、純粋に楽しめるのです。
 
心と体は連動しています。おいしく楽しくおやつを食べれば心が和み、心が和めば血流がよくなり、血流がよくなれば免疫力もアップします。おやつは、3度の食事とは異なる面から心身の健康を支えているといえるでしょう。

「おやつ」の習慣で健康を意識することも可能?

近年、健康意識の高まりを受けて、ビタミンやミネラルをはじめとする健康を増進する栄養素が含まれた「機能性おやつ」も広まりつつあるそう。
 
矢澤:たとえば、より健康を意識したおやつとして、脳の発達や成長をサポートするDHA、リラックスや集中力を高める効果が期待できるGABAなどもあります。これらの栄養素を食事から摂取するのは意外と大変ですし、「ちょっとした楽しみ」としてうまく取り入れるには、「おやつの時間」という習慣を活用できると良いかもしれませんね。

矢澤:必要な栄養素は、ライフステージや性別などによって人それぞれ異なります。たとえば、成長期の子どもならカルシウム、受験生なら集中力アップを促すGABA、妊婦さんはお腹の赤ちゃんの発育に必要な葉酸、美容が気になる女性はコラーゲンなど。疲労回復やストレス緩和など、そのときどきのメンタルに応じたおやつを選ぶのもいいですね。
「ちょっとした楽しみ」として日常生活の中に必要な栄養素をうまく取り入れるには、「おやつの時間」という習慣を活用できると良いかもしれません。

「おやつの時間」がもたらす、ポジティブな影響とは?

ライオンでも、子どもの歯の土台づくりをおやつで楽しみながらサポートする「噛もっと!グミ/ガム」を取り扱っています。ライフステージにあうオーラルケア習慣に、おやつを役立てることもできそうです。
 
最初は少しだけネガティブな側面も気になっていたおやつの習慣。お話を聞くうちに、おやつの時間は「私たちの生活をより豊かにしてくれるもの」だと、あらためて気づきました。人との会話が盛り上がるための役割を担ったり、心身にもいい影響を与えてくれたり。特に、心身の状態に考慮しながらおやつ選びを習慣化したら、おのずと自分自身に対する理解もより深まっていくのではないでしょうか。そうした新しい視点でおやつを取り入れてみると、生活や心身にポジティブな影響をもたらしてくれるかもしれません。

今日の「おやつ」、みなさんは何を選びますか?

LION Scopeでは、「習慣」についてこれからも広く・深く探究していきます。みなさんも「習慣」について一緒に考えてみませんか?

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