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良いアイデアを生むには?「企画メシ」主宰に聞くポジティブな思考と習慣

何かをより良くするために必要なのが「アイデア」です。良いアイデアを生み出すために、日々の習慣は関係あるのでしょうか? コピーライターの阿部広太郎さんにお話をうかがいました。

「アイデアが出ない!」
 
仕事や生活において、アイデアが必要なのになかなか出ない瞬間ってありませんか? 素晴らしい思いつきやひらめきが、たくさん出せるようになったら、もっと人生が豊かになるのに……と思ったことがある人もいるでしょう。
 
ビジネスの分野でイノベーションを起こしたり、暮らしを快適にしたりと、より良く生きていくために「アイデア」が必要になる場面は多く存在します。とはいえ、アイデアはそう簡単に出てくるものでもありません。ときには何時間、場合によっては数日、数週間と考え続けても思い浮かばないこともあります。
 
はたして、良いアイデアを生み出すには何が必要になるのでしょうか? 今回は、アイデアを生み出す仕事のスペシャリストの方に話を聞きました。
 


良いアイデアを生み出すための習慣はあるのか?

ビジネスや日々の暮らしにおいて、何かをより良くするための起点となる「アイデア」。たとえ小さなひらめきであっても、その最初の一歩がなければ物事は何も進みません。
 
しかし、「アイデア」を生み出そうとしても、どのように考えたらいいのかわからなくなることも多々あります。そんなとき、日々のなかで繰り返す「習慣」がそっと背中を押してくれる手助けとなることはあるのでしょうか?
 
今回お話をうかがったのは、コピーライターや作詞家など、多彩な分野で活躍される阿部広太郎さんです。

コピーライターや作詞家など、さまざまな分野で活躍する阿部広太郎さん

阿部さんは、「企画する人を世の中に増やしたい」という思いのもと、企画力をはぐくむ目的の連続講座「企画メシ」を主宰されています。常日頃からアイデアと向き合っている阿部さんのお話から、「アイデアを生み出すための習慣」に関するヒントを探ってみましょう。

もっと良くしたいと思う「心」が新しいアイデアの源泉

2015年からスタートした「企画メシ」には、これまでに学生から社会人まで、さまざまなバックグラウンドを持つ延べ数百人が参加してきました。参加者の多くは、お互いに切磋琢磨しながらビジネスだけではなく、企画の力で自分の人生を前進させたいと考えています。

阿部さん:企画を考えることは楽しい一方で、なかなか思いつかないことに悩む人も多いと思います。あるいは思いついたとしても、自分が納得するものや、ワクワクするものになっていないこともあるでしょう。

「企画メシ」の講座では参加者が数十人いらっしゃいます。別の方のアイデアを聞いて、「そういうやり方があったんだ!」と、正解は1つではないと知ることができるので、自分の思考の枠組みをぐっと広げることができると思っています。

数々のセミナーや講座に登壇している阿部さん

たしかに、自分以外の誰かの企画やアイデアに対する取り組み方を知ることは良い刺激になってくれそうです。ただ、アイデアを生むための作業はどうしても個人的な作業になると思います。そんなときに手助けとなるような考え方のヒントを阿部さんが教えてくれました。

阿部さん:アイデアであり、企画の考え方なのですが、自著の『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)のなかで、<企画というものは3つの接続詞「そもそも」「たとえば」「つまり」を使うことによってできる>と記しています。その3つの接続詞を用いて物事をとらえ直すと、Aだと思っていたものがBのようにも思えてくることがあります。そうした新たな視点・発想をもとに、工夫や改善などを考えることが「企画」ではないかと、私のなかで定義しています。
 
そして、企画を考えるうえで基本になる想いがあるそうです。
 
阿部さん:とてもシンプルなのですが、「より良くしたい」という心ですよね。アイデアがなぜ生まれるかというと、もっと良くしたいとか、もっとうまくできないかと考えるところから始まるのかなと思います。目の前にある椅子や机などのプロダクトから、遠く離れている人とつながるためのインターネット上のサービスまで、「もっと良くしたい」という想いから新しいモノ・コトが生まれている気がします。
 

「そこに1%の希望があるかもしれない」。ポジティブなとらえ方を習慣化

「自分の身の回りのことをもっと良くしていく」という企画やアイデアの根本を見つめるなかで、阿部さんが大事にしているのは「目の前の現実をどうとらえるか」という習慣だそうです。
 
阿部さん:ネガティブなこともポジティブなことも起こり得ると思うのですが、それをどのように受け取って解釈するか、というのが大事な習慣だと思っています。哲学者のニーチェも、「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」という言葉を残しています。いま目の前に起きている事態を悲観的に解釈すると、心はやはりネガティブな方向にいかざるを得ません。
 
ですが、別の角度から見て「そこに1%の希望があるかもしれない」とポジティブにとらえることを習慣化することで、あらゆる出来事に向き合う際に明るさを見つける可能性が広がると思います。

阿部さん:要するに、目の前で起きている事態をそのまま鵜呑みにして受け取るのではなくて、自分なりの考えで積極的に解釈することが大切です。そこから自分らしい考えが生まれてきて、良いアイデアや企画になれば、自分自身の肯定にもつながるはずです。私は、そうした主体的に物事をとらえる考え方を「積極的解釈」と呼んでいます。企画に対する考え方は人それぞれにあるとは思うのですが、私にとって「企画する」ということは、自分が幸せに向かうための意志でもあるととらえています。

アイデアには「健康」も重要。自分の状態を把握する大切さ

その「積極的解釈」を支えるために必要な要素は、「健康」であることだといいます。
 
阿部さん:自分に余裕がないと考えることは難しいので、体を健やかにして、精神的にゆとりを持った状態を保つことが大事です。自分がどういう状態・環境だと快適に過ごせるかをはじめ、ベストな体温やリラックスできる飲み物など、そういったものを知っておくことも、企画やアイデアを考える際に重要な要素だと思います。
 
よくスポーツの世界で『心・技・体』という言葉が使われますよね。私はアメリカンフットボールを学生時代に合計8年間やっていて、そのときの中学・高校の恩師が「『心・技・体』ではなくて、『体』が一番に来る『体・心・技』だと思っている」と言っていたのをいまだによく覚えています。体が良い状態でなければ、その後の心も技もついてきません。自分の体のケアの仕方をちゃんとわかっておくということは、自分を前へ前へと動かしていくうえでとても大事だと思っています。
 

アイデアを生み出すために重要になってくる、物事のとらえ方と健やかな心体をキープするための習慣。さらに、自分自身を俯瞰して見ることも大切だと阿部さんは語ります。

阿部さん:たとえば、プロジェクトにおける目標があったときに、いま自分の考えていることが全体においてどのくらい重要なことなのか、どういう意味があるのかを考えるようにしています。
 
一番良いかたちでプロジェクトを進めていくには、ゴールイメージを持ちながら、全体を俯瞰して見ていないと、何をどう考えるべきか迷ってしまうと思います。できるだけ、いまがどういう状況で、何が起こっていて、何から考えていくことがベストなのか、という順序を決めることはつねに意識していますね。忙しくなる時期に自分をどうケアするかを考えるのも習慣であり日常化しています。

「アイデア×習慣」は仕事や生活の一部に限らず、人生を豊かにするヒントにも?

お話をうかがってみて、あらためて「アイデアを生むこと」について考えさせられる部分が多々ありました。そもそも何のために、どこへ向かうためにアイデアを考えるのか。
 
「こうすればアイデアは生まれる」というような、インスタントな考えではなく、アイデアを考えるうえでの必要な根本要素は何なのかを見つめる機会になりました。そして、アイデアを生み出すためのベースとなる部分に、習慣が関わっていることも再認識できたと思います。

「アイデアを生み出す」ために頭だけで考え抜くのではなく、「目の前の現実をどうとらえるか」と考え、自分のスタンスを明確にすることを習慣化するのは、新しい視点であるように思えます。また、目指すべきゴールだけではなく全体を俯瞰して把握することや、そのうえで心体を健康に保つための習慣の重要性も学びになりました。
仕事や生活の一部の「アイデア」だけにとどまらず、人生をより良く豊かにするという点においても、大きなヒントになるのではないでしょうか。
 
LION Scopeでは、「習慣」についてこれからも広く・深く探究していきます。みなさんも「習慣」について一緒に考えてみませんか?
 
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