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丁寧な暮らしは誰のため?心に余白を生む「時産」の考え方

毎日をもっと丁寧に過ごしたいと思っているのに、現実はバタバタとあらゆることが同時進行! 丁寧な暮らしに憧れながらも時間に追われ、理想と現実とのギャップにため息をついている人も少なくないでしょう。

シンプルライフ研究家のマキさんは、暮らしの満足度を高めるのには「特別な道具もお金もいらない」と断言します。
マキさんがおすすめするのは、引き算発想での暮らしの点検。

固定観念を取っ払い、しなくていいことを手放していくと、もっと自分らしく豊かに暮らせるようになるかもしれません。


憧れに近づけない苦しさはなぜ生まれる?

「丁寧な暮らし」というフレーズからイメージされるのは、どんなライフスタイルでしょう。

自分好みのこだわりのモノだけに囲まれた、おしゃれな暮らし?
家事のひとつひとつに時間をかけ、楽しむ余裕?

SNSを開けば素敵な暮らしの実践例が次々に流れ、参考になる情報はいくらでも手軽に入手できる今。だからこそ、他人のライフスタイルと比べて、知らず知らずのうちにツラさを抱え込んでしまうこともあるようです。

マキ:SNSでは、すてきなインテリア、バランスのよい献立、家事の楽しみ方、さまざまなアイデアを手軽に見ることができますね。
でも、大量の情報がありすぎるからこそ、それを自分の暮らしに取り入れていくって実はけっこう大変です。「暮らしの参考にしたい」という思いから情報収集を始めたはずなのに、気づかないうちに「自分はこんなふうにできない」という劣等感にさいなまれていた、なんてことも。

あるいは、いろいろなアイデアを試してみてはいるものの、「このやり方は自分には合わなかった」「私がやってもなぜか素敵じゃなかった……」と迷子になってしまっている人もいますね。

「本質」から逆算してシンプルに

マキさんは、ツラさを招く背景には「足し算」の思考があるかもしれない、と指摘します。

マキ:たとえば、SNSで見たすてきな人の習慣をまねしてみる、おしゃれな家事アイテムを買う。これは足し算ですよね。「毎日拭き掃除までする!」「シンクはピカピカに磨く」など、完璧を求めるとやることは際限なくあって、いくらでも足せるのが家事でもあります。
足すことって、意外と簡単にできて、わかりやすいんです。

でも反対に、使えるモノを捨てたり、今までの習慣をやめたりという「引き算」には、抵抗のある人が多いように思います。それは、「理想」や「正解」といった固定観念に縛られているせいかもしれません。

「憧れの人が実践しているから」
「実家ではこのやり方だったから」
暮らしの中の「こうあるべき」は、知らず知らずのうちに形作られていきます。けれど、その思い込みをはずしてみれば、「やらなくても問題なかった」ということも多い、とマキさん。

マキ:本質やゴールを考えると、しなくていいことの判断がつきやすいかな、と思います。
たとえば、私にとっての毎日の料理のゴールは「食卓に栄養のあるごはんが並び、家族がおいしいと食べてくれること」。
そのゴールに到達できるなら、過程は料理をする人に一任されているわけですよね。コトコト煮込もうが、電子レンジでチンしようが、たぶん家族は気にしない(笑)。
食材だって、スーパーで買っても、ネット宅配を利用しても、料理の仕上がりには関係ないですよね。
家事の工程は、それを主に担う人が自由にコントロールすればいい、と思うんです。

家事や暮らしのなかで大切にしたい本質は?
その答えは、きっと人によって違うはずです。

たとえば、料理をすること自体が楽しみでゆっくり時間をかけたい人もいれば、効率よく時短で作り、食事の時間をゆったりとることに重きを置く人もいるでしょう。 

自分にとっての本質がブレなければ、それ以外のところは手を抜いたり、いっそやめたりしてもいい。自分が丁寧にしたい部分を明確にすることこそが、暮らしの満足度を高める第一歩と言えるかもしれません。

「幸せ」を感じる時間を生み出すコツ

マキ:「丁寧に暮らせないツラさ」を感じる大きな原因は、おそらく日々の慌ただしさやストレスにもあるのだろうと思います。

確かに、やるべきことのひとつひとつに手間と時間をかけていたとしても、「次はコレをしなきゃ!」「まだアレも終わっていない!」と追われていたなら、「丁寧に暮らすって大変……」という疲労感のほうが勝ってしまうでしょう。

マキ:丁寧な暮らしの実感を得るために大切なのは、時間を自分でコントロールすることではないかと思います。
たとえば、朝6時に起きて、のんびりとコーヒーを飲む。これだけでも、ギリギリに起きてバタバタと準備をして飛び出す人よりきっと朝時間の満足度は高いですよね。

でも、コーヒーを飲みながら、SNSをチェックしていたとしたらどうでしょう? 気づいたらもう出勤の時間で、結局バタバタ……というケースもありそう。時間を自分でコントロールするには、スマホやネット、情報との向き合いかたも見直す必要がありますね。

少しでも時間があると、半ば無意識のうちにスマホを開いてしまう、という人も多いはず。マキさんは、スマホを意識的に遠ざけることで、「無」になれる時間を作っている、と言います。

マキ:私が幸せを感じるのは、スマホを置いて、家族でごはんを食べているときや、お風呂にゆっくり浸かっているとき、寝る前のちょっとリラックスした瞬間。1日のなかに自分の心が安定して、穏やかでいられる時間がいくつもあると、丁寧に暮らせているな、と感じます。

でも、こういう時間って、自分で意識的に生み出していかないと、なかなかとれなかったりもするんですよね。余った時間で好きなことをしよう、なんて思っていると、なかなか余らないのが時間ですから。

時間を主体的にコントロールして、自分の好きなことをする時間を生み出すという考え方を、マキさんは「時産」と表現します。

マキ:「時産」ってお金もかからないし、ほんの少しの工夫ですぐできることばかり。幸せのなりかたとして非常にお得じゃないかな、って思います(笑)。

「丁寧な暮らし」と聞くと、たとえば「コーヒーを豆から挽いて淹れる」「自家製ジャムを作る」など、ひと手間かけた暮らしをイメージする人も多いでしょう。でも、マキさんのお話を聞くと、何かをすることだけが丁寧な暮らしではないのだ、と気付かされます。

視点や考え方を変え、心が満たされる機会を意識的に増やしていくことこそが、丁寧な暮らしのコツなのかもしれません。

ゼロにリセットする習慣でストレスフリーに

時間を自分でコントロールするために、もうひとつ、マキさんが心がけている習慣が「物事をマイナスからスタートしない」ことだそう。

マキ:たとえば家事の場合、朝起きて、シンクに前日の食器が残っていたら、まず皿洗いをするところから始めないといけない。
料理をする前に、ひとつやらなければいけないことがあるって小さなストレスですよね。
掃除も同じで、汚れたときにサッと拭き取っておけば、とりあえずゼロに戻る。

ゼロに戻ってさえいれば「また汚れている」「ちゃんとできていない」という不快感は生まれづらいですよね。それに、もっとピカピカにしたいと思ったときも、ゼロからプラスにする行動だけでいいわけです。

「今日は疲れているから、皿洗いは明日でいいや」「散らかっているけど、いまは時間がないから見なかったことに…」

忙しい毎日のなかでは、こんなふうに目をつむる日もあるでしょう。でも、これが毎日になってしまうと、日々の生活が常にマイナスからスタートすることに。それはかえってストレスを生むもとになっているかもしれません。

物事を「ゼロに戻して終わる」ことも、丁寧な暮らしを実感するためのひとつのポイント。いつもと変わらない日常でも、「今日もゼロリセットできて、えらい」と自分を褒めることができたなら、きっと日々の満足感も上がるはずです。

マキ:無理なくゼロに戻すために、便利な製品やサービスを活用して、時短をするのもいいですよね。

マキさんは、「時短」は、「時産」のためのテクニックと位置付けています。

マキ:効率よく物事をこなせると、浮いた時間にさらなるタスクを追加して頑張っちゃう人が多いんです。でも、それでは「やるべきことに追われている」という感覚はかえって強まるばかりかもしれません。

時短で生まれた時間は、ぜひ自分のご褒美時間に。
ゆっくりコーヒーを飲むのでも、好きな入浴剤を入れてお風呂に浸かることでも、家族とのおしゃべりでも、資格や語学の勉強をするのもいいですね。自分が幸せだな、有意義だな、と思えることに時間を使うことをおすすめします。

毎日、どこかしらに小さなご褒美時間を組み込むことを習慣化してから、「満たされていないと感じる日がなくなった」とマキさんは語ります。

小さくても幸せを感じられる時間を1日のあちこちに散りばめる、マキさん流の時産の習慣。
自分基準で「好きなこと」「有意義なこと」に時間を割り当てていく発想に、ふっと肩の荷がおりたように感じる人もいるのではないでしょうか。

他人との比較や「こうするべき」に縛られることなく、自分だけの小さな幸せを大切にしていけばいいと考えると、「丁寧に暮らせないツラさ」なんてどこかへ飛んでいってしまうようです。

時産をするために、毎日の暮らしの中でどこに重点をおいて、どこを効率化するか。時間を生み出せたら、どんなことをご褒美の習慣にしたいか。

1日を振り返りながら、そんなふうにひとつひとつ点検してみるのも、実は大切な時間かもしれません。

あなたにとっての、日々の小さな幸せはなんですか?

LION Scopeでは、「習慣」についてこれからも広く・深く探究していきます。みなさんも「習慣」について一緒に考えてみませんか?


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