子どもの幸福×創造性を育む習慣。tupera tupera×むすびえ 編集後記
ライオンは「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」をパーパス(存在意義)としており、毎日の歯みがきや手洗いなどの生活がもっと楽しく・前向きな習慣になるよう取り組んでいます。
今回LION Scopeでは「子どもの幸福×創造性」をテーマに、絵本や雑貨など多様な作品を創作し続けているtupera tupera(ツペラ ツペラ)の中川敦子さんと、全国のこども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会の実現を目指して活動する認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)の遠藤典子さんをお招きし、お話をうかがいました。
この編集後記では、お二人にご出演いただくことになった背景、コーポレートサイトの特集記事には載せきれなかったお話をお聞きし、編集部が感じたことをご紹介します。
▼コーポレートサイトの特集記事はこちら
「子どもの幸福×創造性」をテーマにした理由
ライオンは、歯と口の健康を通して、子どもたちの明るい未来の創造を目指すべく、こども食堂を支援されているむすびえさんと連携して「おくちからだプロジェクト」を行っています。このプロジェクトは、子どもたちへ正しいオーラルケアと豊かな体験を提供することが目的の活動です。
日本国内の子どもに焦点を当てると、先進国のなかでも幸福度が低いという事実があります。社会変化が激しく予測困難な時代のなかで、幸せに生きるための力を育むには非認知能力(自己肯定感、創造性、他者との関係構築など)が大切という話題も耳にします。感受性が豊かな幼少期に育む創造性は、これからの時代においてより一層重要になってくるのではないかと考え、「子どもの幸福×創造性」というテーマにたどりつきました。
お二人の選定理由
子どもたちの身近にある絵本を例に、日々の「体験」がもたらす影響や、得られた創造力が子どもたちにどう役立つのかをはじめ、そこから見えてくる習慣のあり方を探求してみたいと考えました。
創作活動をされている絵本作家tupera tuperaさんと、こども食堂の支援を通じて多くの子どもたちにさまざまな「体験」の機会も提供されているむすびえさんの対話から、新しい視点や習慣への学びを得られるのではないかと思い、今回お声がけをさせていただきました。
壁をつくっているのは大人だけ。子どもと「共有」することの大切さ
取材のなかで印象的だったのは、「壁をつくっているのは大人だけ」という会話でした。
――遠藤さんは、ワークショップの現場はもちろん、普段お子さんを育てられているなかでも、子どもの動向をよく見られていると思います。子どもが嬉しそうだなとか、楽しそうだなと感じる瞬間は、どういうときですか?
遠藤:親やほかの大人たちのリアクションを見ながら、「一緒に何かをする」のがとても楽しかったり、嬉しかったりするんだろうなと感じる瞬間は多いですね。こども食堂でも、子どもが突然「この絵本、読んで」って知らないおばちゃんに話しかけている光景を目にすることがあります。
子どもから「何か一緒にやってほしい」と言われたとき、その意思やエネルギーを尊重して大人たちは快く受け止めてあげることが大切だと思います。そうした「何かやること」に対するハードルの低さや、他人と共感しながら何かをするという経験の積み重ねが、子どもの創造力にもつながるのかなと思います。
ワークショップの現場などを見ていると、子どもは好奇心旺盛で早く動こうとするのですが、大人はちょっと吟味して立ち止まってしまったり、場合によっては拒否してしまったりすることもありますから。壁をつくっているのは大人だけだな、と思います。
中川:やっぱり時間や体験を共有することに、楽しさとか嬉しさを感じるのでしょうね。それこそ絵本を読むでも良いですし、一緒に食卓を囲んで「おいしいね」って笑いあったりするだけでも幸せなはず。そういった実体験を共有していくことが大切ですよね。
子どもとの時間や体験を共有することが大事だと考えている中川さんと遠藤さん。そんなお二人のご家庭では、「これだけは意識している」という習慣はあるのでしょうか。
中川:tupera tuperaの相方であり夫の亀山は、「家族みんなで一緒に夕飯を食べること」をすごく大事にしていますね。とはいえ、厳格な雰囲気ではなく、テレビをつけながら食卓を囲む日もあれば、気づくとそれぞれがスマホをいじっていることも。でも、ごはんと会話に集中することももちろんあって、そういう日はやっぱりおもしろいですし、家族で食卓を囲むって幸せな時間だと思います。
遠藤:良い時間ですね。私は出産のときに、心配してくださった知り合いの方々から育児書をいただきまして。ひと通り読んでみたものの「こんなに完璧なママにはなれない」と、早々に離脱しました(笑)。そんなときに、テレビで「お風呂の時間と寝る時間だけ固定して、そこだけ守っていれば子どもはグレない」と言っているのを耳にして。何の根拠もない発言でしたが、それなら私もできるかもしれないと思い、21時にお風呂、22時に寝るリズムだけは、習慣として守っています。
編集後記
興味があるものに対して敷居をつくらず飛び込むパワーや、純粋に楽しもうとする子どもからは、学ぶことも多いことをあらためて感じました。一方で、大人になると、ついつい周りを気にして尻込みしてしまったり、自分でも気づかないうちに壁をつくったりしてしまうことも……。
しかし、子どもが楽しもうとするエネルギーを大人はしっかりとキャッチしてあげることや、同じ目線に立って楽しむ姿勢を意識することが大切だと、今回の取材で気づきました。日常の楽しい時間や体験を一緒に共有することが、子どもの幸せと創造力を育むことにつながるのかもしれません。
お二人の対話から、子どもにとって良い体験や喜びとは、特別なことを大人が用意することではなく、何気ない日々の生活のなかで得られるということも見えてきて、「日常を大切にする」という本質的な思考に立ち返ることができました。
中川敦子さん、遠藤典子さん、お話を聞かせていただきありがとうございました!