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社会・繊維・洗剤の変化とともに進化。洗濯習慣の変遷を紐解く

毎日の生活で当たり前のように繰り返している習慣も、時代によって大きくその姿を変化させてきました。

普段はなかなかそうした変化について意識しませんが、注目してみることで、自分の習慣を振り返ったり、未来の暮らしについて考えたりするきっかけになるかもしれません。
 
今回扱うのは、「洗濯」という習慣。幾度の技術的な革新を繰り返し、私たちはより簡単に・より便利に洗濯ができるようになりました。最新の洗濯習慣からスタートし、「洗濯」の変遷を振り返ってみましょう。


洗濯習慣の変化・進化に3つの側面からアプローチ

少しでも手間を減らして、効率的な洗濯を行ないたい——このようなニーズは誰しも覚えがあるのではないでしょうか。こうした希望に応えるため、洗濯機や洗剤は日々、進化を続けています。
 
たとえば、スマートフォンで操作できる洗濯機。帰宅時間に合わせて洗濯・乾燥終了時刻を簡単に設定でき、帰宅したら畳むだけなので、洗濯に費やしていた時間や干したり取り込んだりする手間も減らすことができます。スマホアプリでタンクに残った洗剤や柔軟剤の量を把握し、衣類に合わせた洗い方や洗剤の投入量をワンタッチで操作することもできます。
 
このような洗濯習慣の変化は、いまに始まったことではありません。長い時間をかけて洗濯習慣がどのように変化してきたのか、そうした変化はなぜ起こったのか、「社会の変化」「ファッションにおける繊維の進化」「洗剤の進化」の3つの側面から考えてみたいと思います。

①社会の変化:女性の社会進出で新たなニーズを発掘

まず「社会の変化」について見てみると、女性の社会進出が大きな影響を与えていると思われます。
 
洗濯は重労働でありながら、ひと昔前まで女性の仕事とされていました。それが、女性が社会で活躍する機会が増加し、また単身世帯が増えたことで、洗濯は女性だけが行なう仕事ではなくなりました。家事に費やす時間の短縮化が求められ、それに合わせるかたちでより便利で簡単な洗濯機や洗剤の開発が盛んになりました。
 
さらに以前まで洗濯は朝に行なうものという認識が強かったのですが、共働き家庭が増加し、夜に洗濯する家庭も増えました。そして、外に洗濯物を干すことが困難な集合住宅も登場したこともあり、その頃になると「部屋干し」という概念が誕生することになります。
 
室内で洗濯物を干すと、乾くまでに時間がかかり、衣類に水分が残る時間が長くなるため、雑菌が増殖しやすくなり、生乾きのイヤなニオイが発生するリスクが高まります。そのニオイを防ぐことに着目した衣料用洗剤として、「部屋干しトップ」が発売されることになりました。

2001年に誕生したライオンの衣料用洗剤「部屋干しトップ」。当時まだ浸透していなかった「部屋干し」という概念が市民権を得るきっかけに

社会における衛生意識の高まりも、洗濯習慣に大きな影響を与えました。ひと昔前まではドロ汚れやエリ・ソデ汚れなどの目に見える汚れに着目しがちでしたが、「目に見える汚れがなくても一度着た衣類は洗濯する」という洗濯習慣が定着し、2010年代に入ると、生活者の衛生意識がより高まり、「見えない汚れ」である「菌」や「ニオイ」に対して注目が高まるようになりました。近年は、ウイルスの感染対策に対する関心も高まっています。

②ファッションにおける繊維の進化:ウールなどウォッシャブル化が進む

洗濯習慣の変化においては、「ファッションにおける繊維の進化」もまた切り離せない要素です。なかでも衣類に使われている繊維の進化は洗濯に大きな影響を与えました。
 
時代とともに、衣料品に要求される機能も、ファッション性だけでなく、快適性、安全性、耐洗濯性などが求められるようになり、そのような機能を付加した衣料品が増えていきました。
 
例えば、ウールは洗濯すると縮んでしまうので洗濯機で洗うことは困難でしたが、1960年代ごろから防縮加工によるウォッシャブル化が進み、気軽に家庭で洗うことができるようになっていきました。

1963年に発売したライオンのおしゃれ着用中性洗剤「アクロン」も、繊維の進化に合わせてリニューアルを続けている。写真は最新のアクロン(2022年9月現在)

また、シワを防いで、アイロンがけを不要にする防シワ加工をしたワイシャツが登場し、アイロンをかける時間が減少したり、クリーニングが主流であった学生服、スーツ、おしゃれ着も近年では洗濯機で洗えるものが増加したりと、洗濯習慣も変わっていきました。

③洗剤の進化:洗剤のコンパクト化・形状の進化で利便性アップ

最後に、「洗剤の進化」は、洗濯をより便利で簡単な習慣にすることの大きな手助けとなっています。
 
洗濯機の進化については、皆さんもなんとなくご存じなのではないでしょうか。洗い、すすぎを行うための洗濯槽と脱水だけの槽が別になっている「二槽式洗濯機」から、洗い、すすぎ、脱水が一度にできる「全自動縦型洗濯機」が発売され、2000年代になると、縦型洗濯機よりも少ない水で洗える「ドラム式洗濯機」や、さらに乾燥機能がついた洗濯機が普及していきました。ではこの進化に伴い、衣料用洗剤はどう進化したのでしょうか?

洗濯層と脱水層に別れた「二槽式洗濯機」

日本で洗濯機が普及し始めた1970年代は粉末タイプの洗剤が主流で、1回の洗濯での標準使用量は40gと多量でした。その後粉末粒子の高密度化や洗浄能力の向上が進み、1980年代になると、粉末のコンパクト型が発売されます。容積がこれまでの洗剤の4分の1の大きさになり、フタや吊り手がついてラクに持ち運びができ、片手で持てる重さになりました。

コンパクト化した粉末洗剤でしたが、衛生意識の高まりから洗濯頻度が増加し、水に溶けやすい液体洗剤のニーズが高まります。液体洗剤の使用量についても高濃度化の技術革新は進み、最初は標準使用量20gほどでしたが、いまでは10gほどまで少なくなっています。

最近では洗剤自動投入機能付き洗濯機の「専用洗剤」も登場し、「スーパーNANOX 自動投入洗濯機専用」は標準使用量6gまで少なくなりました。また、手を汚さずに洗濯機に投入できるタイプの洗剤も人気で、水溶性の包装素材に液体洗剤が封入されたタイプのほか、プッシュ式で計量いらずの容器に入った液体洗剤などが、利便性向上に一役買っています。

一人ひとりの習慣が、未来の社会の姿をかたちづくる

その発祥から現在に至るまで大きくかたちを変えてきた洗濯習慣ですが、今後も時代の変化に合わせた習慣の変化が求められることになるでしょう。特に現在は地球環境への配慮やSDGsに対する意識は大きく高まっており、人類が今後も安心・安全に暮らすための喫緊の課題ともなっています。
 
ライオンでは、植物由来の原料を使ったり、内容物の濃縮化によりパッケージを小型化したりすることで、樹脂量の削減や輸送効率の向上につなげています。また、すすぎが一回で済む洗剤も開発しており、こうした取り組みを通じてCO₂の削減や環境負荷の低減に貢献できたらと考えています。

発売当時の「無リントップ」(左側)と、現在の「トップスーパーNANOX」(2022年9月時点)。これだけ大きさが違うものの、一個あたり洗濯回数は水30リットルあたりの使用量で換算して66回分と、同等

今回は「洗濯」にスポットをあてましたが、皆さんはこの変化、どのように感じられましたか? 普段なかなか意識しない習慣の変化に注目することは、清潔文化のさらなる発展やこれからについて考える良いきっかけになりそうです。
 
このように一人ひとりが新しい知識を得たり、それを普段の暮らしのなかに取り入れたりしていくことで、少しずつでも社会はきっとより良くなっていくはず。さまざまな側面からより良い暮らし、より良い習慣をつくるために、皆さんと一緒に私たちも取り組み続けたいと思います。

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