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ベッドメイクで幸福感アップ?異なる「習慣」を知ることが新たな発見に

入浴は夜? それとも朝?
ご飯を食べるときは、サラダから?味噌汁から?
人によって「習慣」はさまざまです。
自分にとっては当たり前だと思っていた習慣も、ほかの人に驚きとともに受け取られたりしますよね。

逆に、ほかの人の習慣を聞いて「そういうのもあるのか」と、いままであまり気にしていなかったかもしれませんが、その「習慣」を続けている本人にとっては重要な意味を持っていたりします。

ちょっと興味を持って知らない「習慣」に触れてみると、新たな発見があるかもしれません。

「習慣」に関心を持って深掘りしてみる

 人それぞれに違う習慣が生まれるのには、時代の変化も大きく関わっています。例えば、以前に取り上げた「洗濯習慣」では時代の変遷による生活環境の変化が習慣に反映されていることを知りました。

洗濯は社会の変化、繊維の進化、洗剤の進化により習慣の形を変えています。

そして、同じ時代を生きていても、地域の違いによる生活環境の違いが「習慣」に大きな影響を与えています。食べて・寝て・暮らすという、同じ人間の営みでありながら、気候風土や文化・宗教の違いが生活環境に違いをもたらし、日常の小さな「習慣」も変えていきます。

たとえば、日本ではホテルに宿泊したときなどにスタッフの人が行ってくれる「ベッドメイク」ですが、欧米では個人で行う一般的な「習慣」として定着しています。ベッドでの生活が当たり前の諸外国では朝起きてすぐにシーツのシワをきれいにのばし、掛け布団は畳んで足元に置き、つぶれた枕をフワフワの状態にして定位置に揃えるという習慣が多くの人に根付いているそうです。

YouTubeで500万回以上も再生されている米国の動画に、軍人マクレイヴン氏がテキサス大学オースティン校の卒業式で行ったスピーチがあります。その中で彼は「世界を変えたいなら、ベッドメイクから始めよう」とスピーチしています。

「ベッドメイク」という小さなタスクを完了させ、達成感を得てから1日をスタートさせることが、長期的には大きな目標を達成するための力になるというのです。

良い習慣として、幼いころから子どもにベッドメイクを教える家庭も

小さなことでも達成感を得ることを「習慣」に

ベッドメイクを行えば確かに気持ちよく1日をスタートできそうですが、そんな小さな習慣に目標を達成に導くような力があるものなのでしょうか? 

臨床心理士・公認心理師の塚越友子さん(東京中央カウンセリング代表)に、「ベッドメイク」という習慣を続けることにどのような意味があるのか。お話を伺ってみました。

塚越:一つひとつの小さな達成感を積み重ねていくことは自信につながります。そしてそれは、自分がやろうと決めた目標をやり遂げることができると認識する「自己効力感」につながります。大きなことからやろうとすると、どうしても途中であきらめてしまい、挫折体験になってしまいます。小さなこと、簡単に続けられそうなことからこつこつとやってみて、「続けられる」という自信をつけて、「もうちょっと難しい課題に挑戦してみよう」という流れで繋げていけば、大きな目標の達成に近づくことができます。

結果として自信がついたり、幸福感が高くなることは起きると言えますが、そのために「ベッドメイク」をするというのはちょっと違うと思います。「ベッドメイク」が自分にとっていいことなんだと意義や意味を見い出して行動することでポジティブな感情が生まれ、結果として幸福感が高まるというメカニズムなのです。ですので、その人にとって意義や意味を見出せるのであれば、習慣は何でもいいのです。「ベッドメイク」をするから良くなるという訳ではなくて、例え小さなことでも自分が達成感を得られるのであれば、心にはとてもいい作用があります。

習慣の意義に気づいて積み重ねることが重要。

特定の習慣に幸福感を上げる効果があるのではなく、小さなタスクを習慣として続けることが達成感、ひいては自分が決めたことをやり続けられているという自信につながるようです。

※「ベッドメイク」にはメリットだけでなく、起きてすぐに整えてしまうとダニが暖かい環境にとどまり増えてしまう可能性がある、起きてすぐのベッドを布団で覆ってしまうと夜中にかいた汗が蒸発しないので湿気がこもるなどのデメリットを指摘する声もあります。

慣れて習慣化するまでのコストがネックに

 ちなみに、編集部には「ベッドメイク」を習慣にしているメンバーはいなかったのですが、興味を持った二人のメンバーが実際に数日間にわたって起床後にベッドを整える行動をやってみたところ、見事に結果が分かれました。

ひとりは最初の数日は達成感を得られるなど、確かに手ごたえがあったそうですが、しだいに起きてすぐに行うのがキツくなってしまい、「やらなくても寝られるし……」と習慣には至らなかったそうです。

一方、もうひとりは「ベッドメイク」の習慣をいまも続けているそうです。しかも、ベッドを整えたあと、そのまま部屋の掃除をするという習慣にまで派生したそうです。

この違いについて、塚越さんが見解を聞かせてくれました。

塚越:「その習慣はいいよ」と誰かに言われて新しく習慣にしようとしても、なかなか身につかないんですよね。それは、意志の力とか目標とは関係なく、人間は慣れている習慣は無意識でやっているのでそれに対しては好感を持つんです。だけど、新しいものは慣れていないので、難しいと感じてしまって、慣れるまでの時間的なコストに対して「イヤだな」って嫌悪感を抱いてしまうんです。新しい行動を習慣にしていく手間を「スイッチングコスト」といいますが、それに耐えられないのが習慣化できない原因のなかでも大きいと言われています。

新しい「習慣」を身につけるには、その行動にいかに早く慣れるかが重要に。

何気ない毎日の「習慣」の積み重ねがやがて

 今回の記事では、他人が続けている「習慣」にはどのような意味があるのかを探ることを目的にしていましたが、塚越さんのお話を聞くなかで人生を豊かに生きるための興味深いヒントも見えてきました。

 「習慣に意義や意味を見い出すことでポジティブな感情が生まれる」
「慣れて無意識でやっている習慣については好感を抱きやすい」

つまり、日常で当たり前のように繰り返している小さな習慣に、自分なりの意義や意味を見い出して達成感を得ることができれば、それはやがて大きな目標を達成するための足がかりになるかもしれません。もし、現時点において決まった目標がなくとも、「達成感や自分はやり遂げることができるという自信は醸成されているので、いざ頑張りたいときのための準備になる」と塚越さんは教えてくれました。

何気ない毎日の習慣が「自信」や「幸福」につながるという、積み重ねの大切さを感じます。

今回は「ベッドメイク」という習慣を取り上げましたが、ほかにも自分は特に気に留めていなかったけど、ほかの人が大切にしている「習慣」はたくさんあります。習慣の違いを知ることには新たな発見が潜んでいそうです。

LION Scopeでは、「習慣」についてこれからも広く・深く探究していきます。みなさんも「習慣」について一緒に考えてみませんか?

▼「社会・繊維・洗剤の変化とともに進化。洗濯習慣の変遷を紐解く」

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