妊産婦に寄り添い成し遂げた社会貢献とブランド成長の両立【ライオンコリア】
累計39万世帯を支援。ライオンコリアの社会貢献活動に込められた熱い想いに迫る!
今年で11年目を迎えたライオンコリア※の社会貢献活動「ヨチヨチキャンペーン」。自治体と連携し、妊産婦を対象に累計約39万世帯に衛生用品の支援を行ってきました。
ライオンコリアでは、なぜ、このようなプロジェクトをスタートさせたのでしょう?支援を受けとった女性たちや、自治体の反応は?現地の担当者に、その背景や想いを語ってもらいました。
※ライオンコリア…ライオングループのうち、韓国で事業展開を行う海外グループ会社。日本で販売されている「キレイキレイ」というブランドは、韓国では「Ai!Kekute(アイケクテ)」というブランド名称で販売をされております。
出生率が低下している韓国と衛生
ライオンコリアが2013年から継続している社会貢献活動「ヨチヨチキャンペーン」。まずキャンペーンの背景である、韓国の社会課題や衛生に関する課題について教えてください。
「現在、韓国では出生率の低下が社会課題になっています。各自治体は、妊産婦をサポートするために衛生用品を調達して贈ってはいるものの、妊産婦を対象にした衛生関連の情報提供は充分には行われていないのが現状です」(プロジェクト担当者)
なぜ妊産婦にとって衛生情報は大切なのでしょう?
「韓国には『妊娠初期は落ちる枯葉にも気をつけなければならない』という言葉があります。その言葉の通り、妊娠中は免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる傾向にあります。だからこそ、妊娠中は手洗いの習慣が今まで以上に大切になるわけです。赤ちゃんが誕生すると衛生意識が高まる人は多いのですが、妊娠中から意識を切り替える必要があるんですね。また、韓国では学校でも衛生教育が義務的には実施されておらず、各家庭にほとんど一任されている状態。なおのこと、妊娠中に正しい衛生知識と衛生習慣を身につける必要があります」(プロジェクト担当者)
39万世帯に届いた支援とブランド成長
出生率の低下や妊産婦向けの衛生情報の不足という状況のもと、ライオンコリアが妊産婦の健康支援策としてスタートさせたのが「ヨチヨチキャンペーン」でした。
「出生率の低下は、政府と地域社会、企業が共に協力しなければならない社会課題です。妊娠・出産は、衛生意識が高まるターニングポイント。妊産婦に働きかけることはライオンのパーパスである『より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する』に合致する活動であり、家庭での正しい手洗い習慣は、一生の衛生習慣につながる可能性も高いため、ライオンコリアが2013年から自治体にコンタクトを取って『ヨチヨチキャンペーン』をスタートさせました。2023年度時点で全国56の自治体と基本合意書を締結。
『ヨチヨチ衛生用品セット』として『Ai!Kekute』(「キレイキレイ」の韓国での名称)などの衛生用品を累計約39万世帯の妊婦及び出産家庭に支援し、知っておいてほしい衛生情報もお届けしています」(プロジェクト担当者)
「ヨチヨチキャンペーン」には妊産婦の健康支援施策としての活動という位置づけだけでなく、もう一つの狙いがあったそうです。
「当時の韓国では手洗い石けんはバータイプが主流でした。支援品として『Ai!Kekute』の製品を贈ることで、“泡”で洗うという新しい手洗い習慣を体験してもらうきっかけづくりになると考えました」(プロジェクト担当者)
「ヨチヨチキャンペーン」で顧客接点を拡大したことや、コロナ禍で韓国社会の衛生意識が飛躍的に高まったことなども後押し。現在「Ai!Kekute」は、韓国のハンドソープシェアのNo.1ブランド*になり、ハンドソープの固有名詞として認知される存在へと成長しました。
*2021年1月~2023年12月販売金額 Nielsen Korea Company Market Track Service (the Korean Hand Wash Category)
首都ソウルだからできること
2024年からは、「ヨチヨチキャンペーン」はソウル市の妊産婦に向けて実施しています。
「全国で最も低い出生率を記録しているソウル市。2023年の韓国の合計特殊出生率は0.72人、ソウル市は0.55人。ライオンコリアでは、当初から妊産婦の健康支援活動によって、出生率低下という社会問題にアプローチしてきました。2024年より『ヨチヨチキャンペーン』は国内で最大規模の人口かつ、出生率の最も低い首都ソウル市での展開に絞ることで、活動のインパクトを与え、社会課題の解決にも役立てると考えました」
「ソウル市とは5年間の業務協約を締結し、年平均で約4万人のソウル市の妊婦全員を支援する計画です。ソウル市が我々の提案を受け入れた理由の一つは、ライオンコリアが2013年からヨチヨチキャンペーンを続けてきたことでした。民間企業が数年間自主的に支援を行ってきたという実績を評価されたのではないかと感じています」(プロジェクト担当者)
涙した人も!妊婦の心を打った新パッケージ
ギフトセットのパッケージデザインの大幅リニューアルも行いました。
「デザインのリニューアルで私たちが第一に考えたのが、妊婦さんの心情に寄り添うこと。子育ての不安や自身の健康、仕事復帰など、平均出産年齢33.6才の妊婦たちの悩みへの共感と激励を、パッケージデザインでも表現したいと考えました」(プロジェクト担当者)
パッケージには、様々な誕生花をメインにしたぬくもりのあるイラストと「お花よりも大事なうちの孫娘、お母さんになったね、おめでとう」、「不器用でもいいよ、おばあちゃんが応援するよ」と、不安な気持ちに寄り添った祖父母目線のメッセージが入っています。
「韓国社会では、夫婦だけでなく祖父母世帯も一緒に育児をするのが一般的。『おばあちゃんに育ててもらった』という人も多く、おばあちゃんという存在への思いが強いんですね。こうしたことから、パッケージの言葉を祖父母世代から孫娘世代にあたる妊婦さんへのメッセージにすることで、妊婦さん達の心に届きやすくなるのではないかと考えました。また、韓国では少子高齢化が急速に進んでおり、シニア層への良質な雇用提供も大きな社会課題となっています。そこでパッケージ制作について、廃紙回収などで生計を立てている低所得者層の高齢者とコラボレーションをしました。パッケージやデザインの制作を委託することで雇用機会の提供につながり、社会問題解決への一助になるのではないかと考えたのです」(プロジェクト担当者)
工夫をこらしたギフトは、受け取った女性たちの心を打ちました。数々のSNS投稿がされ、ギフトに対する感動や喜びが拡散されています。その一部をお届けすると…。
「おばあちゃんが生きていたら、こう言ってくれたような気がして泣きそうになった」
「祖母と一緒に幼年時代を送った私は、しばらく涙が止まりませんでした」
「こんなやさしい企業がもっと増えてほしい!」
2024年度の「ヨチヨチキャンペーン」は、妊産婦やそのご家族だけでなく、シニアの方々やソウル市の関係者など、プロジェクトに関わる方々とライオンコリアの心情的な絆を深めただけでなく、マスメディアでも数多くの報道がなされました。
「ソウル市との業務協約締結に関する報道は、テレビ報道を含め106件、リニューアルに関する報道資料は165件、自治体が自主的に発信した宣伝まで含めれば320件以上記事が掲載されました。また、ソウル市以外の全国の地方自治体から支援可能性の問い合わせが多数寄せられています」(プロジェクト担当者)
生活者に寄り添って、より良い生活習慣を提案したい
韓国が直面している社会課題と真摯に向き合い続けているライオンコリア。「ヨチヨチキャンペーン」への今後の意気込みと、経営ビジョン実現に向けた提供価値領域の1つにある「インフェクションコントロール(感染予防)」を中心とした生活習慣づくりへの想いを聞かせてください。
「『ヨチヨチキャンペーン』は、社会課題への取り組みとして実施する一方で、ブランドの使用拡大に加え、“泡”で洗うという新しい手洗い習慣を体験してもらうという側面も持たせることで、ブランド力を高めることにも貢献できました。また、2024年度からのソウル市での活動では、SNS世代に向けた新パッケージでファンづくりの好循環を生み出すことができたと分析しています。今後も、社会課題や生活者のニーズ、企業としての視点をしっかりと検討していくことで、衛生問題に敏感な妊婦のコミュニティで確実な信頼を獲得したいと思っています。
『インフェクションコントロール』についても、生活者に寄り添いながら、よりよい生活習慣づくりをしていくための方法を提示していきたいですね。『Ai!Kekute』がハンドソープの代名詞になったように、ライオンコリアが清潔・衛生に対するソリューションを提示できるよう努力を続けていきたいと考えています」(プロジェクト担当者)
社会貢献活動を行いながら、経済的な価値も高めているライオンコリア。これからも、韓国社会に根差したより良い生活習慣を提案し続けていくことでしょう。
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