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≪後編≫10代が本気で考えた自分たちのオーラルケア習慣。ライオン研究員が中高生とつながるわけ

  • 「10代の若者たちが気軽に続けられるオーラルケア習慣をつくりたい」という思いで始まった、角川ドワンゴ学園の中高生(以下、N/S高・N中等部※生徒)とライオンとの共同プログラム。後編では、優秀賞に選ばれた2つ目のアイデアをご紹介。プログラムを今後にどうつなげていきたいか、ライオンの研究員に聞きました。

※N中等部は学校教育法第一条に定められた中学校ではありません。ご自身の中学校に在籍したままN中等部で学んでいただきます。

前編はこちら

研究所メンバーも驚かされたN/S高・N中等部生徒たちのリサーチ力

ーー続いて、2つ目の優秀賞は、どんなアイデアだったのでしょうか?

堀惠 亮介

堀惠:もう1つは、「タブレット型オーラルケア」です(下図参照)。
口に含むと唾液で溶け、パチパチ弾けて泡となるタブレット型のオーラルケア剤を提案してくれました。

実際の発表資料

ーーこれも面白いですね。30秒ほどで溶けるタブレットであれば食後すぐにケアできますし、レモン味、ミント味、ラムネ味、フルーツ味など、いろんなフレーバーがあることで、飽きずにオーラルケアを続けられそうです。
 
堀惠:はい、さらに「HAJIKERO」という商品名まで考えてくれています。とくに私たちが感動したのが、「リサーチ力」でした!このアイデアを考えてくれたチームは、N/S高生の約60名を対象に、自分たちで独自にアンケート調査を実施したんです。
私たちが事前の講義パートで伝えた、実際の製品開発の際に行う「ニーズ探索」や「アイデアの受容性の確認」を自分たちで行って、本格的な製品設計にチャレンジしてくれたことが大きな評価ポイントになりました。
 
ーーそれはすごい!!同世代のリアルな声を、自分たち以外からも多数集めたわけですね。

若い世代ならではの視点・環境意識の高さがアイデアにも反映

水野 瞳

水野:このチームは、タブレットを入れる「リフィル式容器」に、環境に配慮する仕組みも考えてくれました。リフィルのリサイクルでポイントをため、プレゼントと交換できるという仕組みです。
 
そういう継続購入を促すビジネスモデルであると同時に、いまの社会の環境意識の高まりを踏まえたリサイクルの仕組みであることが、優れているなと。私自身、環境に配慮したオーラルケア製品の開発を担当しているので、とても刺激を受けましたね!

林 貴広

ーープレゼン資料を見ても、生徒さんたちがワークショップに本気で取り組み、真剣にプレゼンテーションに臨んだことがよくわかります。

:飲料タイプ、タブレットタイプと、一見すると違うアイデアのように見えますが、両チームのアイデアに共通するのは、「普段の学校生活の中で、人目を気にせず、場所の制約なく、ケアできる方法」であることかなと思います。
人前でお口をケアすることに抵抗がある、ケアに時間をかけるより友人と過ごす時間を大切にしたいという、中高生のリアルな気持ちに寄り添った、中高生ならではの提案と感じました!
 
堀惠:学校の自動販売機や、登下校時に利用しやすいコンビニを販路として提案してくれたこともすごく嬉しかったです。ケア用品選びを親任せにせず、「自分ごと」としてオーラルケアを捉えていて。自分たちの生活動線で、自身で購入することを前提として考えてくれた結果だな…と感じました。

参加したN/S高・N中等部の生徒さんたちと運営者、ライオン研究員が「LION」のLマークでポーズ

ーーまさに「健康な生活習慣づくり」を目指すライオンの企業目標を、中高生たち自ら形にしてくれたわけですね。その他にも、評価のポイントはありますか?
 
林:どちらのチームのアイデアも、「洗面所などの水場を必要としない」ことが大きなポイントと感じました。
私たちが開発・販売するオーラルケア製品の多くは、ハミガキやマウスウォッシュなど、水が利用できて、口に含んだあと吐き出せる場所での使用が、いつのまにか前提となっていたんだなと思いましたね…。
 
堀惠:私たちも以前から、地震などの大規模災害が起こったときのために、避難所等で水がないときでもできるオーラルケア製品の必要性は理解していました。
ですが、今回のワークショップで、水場を必要としないというのは、決して災害時等の有事に限られたことではない、という貴重な気付きを得られました。
 
また、ライオンはオーラルケア製品を販売している会社であるからか、昼食後に、社員のみんながトイレや洗面台で歯みがきをするのが日常の光景です。「人目を気にせずできる」ことが、これほど若い方にとって重要であったとは…。自分たちでは思い至りませんでしたね。
 
栗田:他のチームの皆さんのアイデアも甲乙つけがたかったです。やはり、中高生の皆さんが普段感じていること、悩んでいることなど、等身大の声から生まれたアイデアには、この世代の“生きた”気持ちが込められています。このプログラムだからこそ感じることができたと思いますし、非常に貴重な機会となりました。 


等身大のアイデアを、中高生の未来に繋げていく

水野:参加した生徒さんたちからは、「学びが多く、新しいことに挑戦するきっかけになった」といった声や、「自分たちの得意なことを知るきっかけになった」という声、「チームで共創することのやりがいと難しさを感じた」といった声が届き、オーラルケアを見直す機会となっただけでなく、充実した時間を過ごしていただけました。
 
林:終了後、本プログラムを一緒に推進してくださった角川ドワンゴ学園スタッフの方からも、「ライオンさんで実際に働いている研究員の方々が伴走してくださったことで、しっかりと実際のニーズをふまえたアイデア立案となり、最終発表につながったと思います。私自身も今回のワークショップは過去に類を見ないほどレベルが高く驚かされました」という感想をいただきました。それを聞いて、このプログラムを実施して本当に良かった、と改めて感じました。
 
ーー生徒さんにとっても、ライオンの研究員の皆さんにとっても、今回のワークショップで新しい大きな気づきが得られたわけですね。今後、この取り組みをどのように活かしていきたいですか?
 
林:生徒さんたちが、独自に設計して同世代に対して行ったアンケート調査は、私たちにとってまさに「気づきの宝庫」です。アンケートの答えの裏側にある、リアルな10代のニーズや想いにマッチした、「オーラルケア習慣づくり」につながる開発をしていきたいと思います。
 

栗田 啓

栗田:ライオンは、創業以来、歯みがき習慣の啓発活動や、出前授業を行うことで、脈々とオーラルケアの習慣づくりを行ってきました。先輩たちの地道な努力もあり、小学生のむし歯はかなり減ってきたことは、当社が関わった社会貢献として自負できるものと考えています。とはいえ、今回のような中高生をはじめとして、あらゆる世代、属性の方々に十分なオーラルケア習慣が浸透していないことも事実です。今回、中高生を対象とした本格的な双方向のワークショップから、当事者からしか得ることのできない多くの気づきをいただきました。今後も、ユーザーの声に耳を傾け製品開発につなげる努力を継続していきたいと考えています。
 
今崎:「若い世代と直接コミュニケーションして、啓発活動を行っていくこと」の重要性も、改めて感じることができました。今回のプログラムを通じて、参加してくれた生徒さんたちは、オーラルケアの大切さをきっと実感してくれたことと思います。これからもライオンは、10代の若い方々はじめ、幅広い世代のリアルな声に耳を傾け、オーラルケア行動の習慣化を目指す新たなチャレンジを進めていきます。

*掲載写真に関して:撮影のため、マスクを外しています。

プロフィール(左から)
 
林 貴広  
衣料用液体洗剤の開発を経て、NONIOブランド等の歯磨剤の開発を担当
 
堀惠 亮介 
う蝕予防歯磨剤の開発を経て、システマブランド等のマウスウォッシュ製品の開発を担当
 
水野 瞳  
美白歯磨剤・う蝕予防マウスウォッシュの開発を経て、環境対応型のオーラルケア製品の開発を担当
 
今崎 麻里 
クリニカブランド等のう蝕予防歯磨剤の開発を担当
 
栗田 啓  
ライフサイエンス分野の基盤研究、研究戦略立案を経て、口腔分野の新規テーマを担当。                                       

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